Audio CD Database with Media Player

Copyright (C) 1990 Fumio Kawamata




スタートアップガイド


Version 4.01
1997年4月14日版

Hyper Juke , Audio-CD Database with Media Player.
Copyright (C) 1990 Fumio Kawamata

Hyper Jukeはフリー・ソフトウェアです。 あなたは、何らの登録無しに、継続して、かつ、無料でHyper Jukeを使用できます。 あなたは、Free Software Foundation が公表した「GNU 一般公有使用許諾書 バージョン2」 (以下単にGNUGPL)が 定める条項に従って本プログラムを再頒布することができます。 あなたは、GNUGPLが定める条項に従ってFumio Kawamataに著作権のあるソースプログラムを 変更することができます。 本プログラムは有用とは思いますが、頒布にあたっては、 市場性及び特定目的適合性についての暗黙の保証を含めて、いかなる保証も行ないません。 詳細については、GNUGPLの原文(gpl.txt) 又は日本語訳(gpl-j.txt)をご覧下さい。

1. はじめに

概要
Hyper Juke は、コンピュータ上に構築されたデータベースを用いたCD演奏システムです。あらかじめデータを登録しておくことで、CDをトレイに乗せてコマンドボタンを押すと、そのCDの各種データを画面に表示することができます。さらに、自分の好きな曲を選んで演奏することができます。演奏中は曲目や演奏者名等を表示しますので、『あれ、これ誰の何という曲だっけ?』というときに便利です。 Hyper Juke の主要機能は次のとおりです。
  1. CDのデータを登録するデータベース機能
  2. データベースを元に、演奏したい曲目を選択する演奏支援機能
  3. 選択した曲目をCDプレイヤーで自動演奏する機能

以下、各機能について説明します。

  1. データベース機能
    Hyper Juke は、将来マルチユーザに対応可能なように基本設計されています。 CDのタイトルや曲目は全ユーザに共通ですが、曲の好みはユーザ個人用のデータベースに登録するようになっています。 現時点ではユーザ数は1名のみ対応していますが、将来は複数ユーザように改造する予定です。 そのため、データベースは、共用の「common」と、個人用の「personal」の2つに分かれています。 Hyper Juke のデータベース機能はBorland Database Engine(BDE) Version 3.0の上で実現されています。 Hyper Juke のデータベーステーブルには以下の情報を登録することが出来ます。

    共用(common)データベース

    • ユニット番号(CDが収納されている単位装置)
    • スロット番号(ユニット中のスロット番号)
    • ディスクタイトル
    • 曲目
    • 演奏者名
    • 作曲者名
    • 作詞者名
    • 再生ボリューム
    • 演奏時間

    個人用(personal)データベース

    • 曲目のキーワード
    • 曲目の好み
    • 演奏回数
    • メモ

  2. 演奏支援機能

  3. 自動演奏機能
    一般の方は、MCI CDオーディオプレイヤー (最近のパソコンが内蔵しているCD-ROMは、MCI CDオーディオプレイヤーの機能を有しています。) を制御できます。

動作環境
Hyper Juke はMicrosoft Windows 95/NT上で動作します。 また、以下のオプションが必要です。

  1. MCI CD Audio Player
  2. 横800x縦600ドット以上の解像度のディスプレイ

2. インストール

Hyper Juke をはじめてインストールする場合と、 2回目あるいはそれ以降のインストールの場合とでは手順が違います。 以下の表によって、手順を確認して下さい。

項目 はじめてのインストール アップデートインストール
1. 旧バージョンの削除 No Yes
2. 配布パッケージの展開 Yes Yes
3. Borland Database Engine(BDE)のセットアップ Yes No
4. データベースの展開 Yes No
5. BDEエイリアスの設定 Yes No

  1. 旧バージョンの削除
    前回インストールしたファイルのうち、 データベースファイルを除くファイルを削除して下さい。

  2. 配布パッケージの展開
    Hyper Juke はInfo-ZIPグループのzipプログラムにより圧縮され、 「hj」の2文字と、バージョンを表す3桁の数字、 そして、「.zip」という拡張子を組み合わせたファイル名で配布されます。 例えば、バージョンが4.00であれば、「hj400.zip」というファイル名で配布されます。 この、 Hyper Juke の配布ファイルを、 本マニュアルでは「配布パッケージ」と呼びます。

    配布パッケージは、そのままの状態では使用不能です。 使用可能にするには圧縮された状態を元に戻す操作(以下、展開)を行わなければなりません。 配布パッケージを展開するには、unzip、WinZip、Lhasaなどのプログラムを用います。

    展開先ディレクトリ名は任意ですので、 自分の環境に合わせて好きなディレクトリに展開して下さい。 展開ディレクトリ内には次に示すディレクトリ(フォルダ)とファイルが生成されます。 各フォルダとファイルの内容は次の通りです。

    bat バッチファイル
    bde32-j Borland Database Engine(BDE)
    bin 実行形式ファイル
    bmp ビットマップファイルディレクトリ
    gnugpl GNU GPLのディレクトリ
    manual マニュアル
    src ソースコード
    database.zip データベース
    readme.txt 最初に読んでいただきたいファイル(英語)
    readme-j.txt 同上(日本語)

  3. Borland Database Engine(BDE)のセットアップ
    bde32-j\disk1 ディレクトリ内の setup.exe を実行して下さい。

  4. 圧縮データベースファイルの展開
    配布パッケージを展開すると、展開先に、「database.zip」という名前の ファイルが出来ますので、このファイルを展開します。 配布パッケージの展開先とは別の任意のディレクトリ(例えば「C:\HyperJuke_DB」)に 展開して下さい。 展開先には、aliasman.exeファイル、「common」及び「personal」の2つのディレクトリが出来ます。

  5. BDEのエイリアスの設定
    圧縮データベースファイルを展開して出来た hyperjuke_alias.exe ファイルを実行して下さい。 「Common Database:」と「Personal Database:」の欄にディレクトリが表示されますので、 OKボタンをクリックして下さい。 BDEのエイリアスを手動で設定する場合は次のように設定して下さい。

    共用データベースのエイリアスの設定
    項目内容
    Alias name: HyperJuke_C
    TYPE: STANDARD
    PATH: 共用(common)データベースのディレクトリ。 例えば、database.zipを「C:\HyperJuke_DB」に展開した場合は、 「C:\HyperJuke_DB\common"を設定します。
    DEFAULT DRIVER: PARADOX
    ENABLE BCD: FALSE

    個人用データベースのエイリアスの設定
    項目内容
    Alias name: HyperJuke_P
    TYPE: STANDARD
    PATH: 個人用(personal)データベースのディレクトリ。 例えば、database.zipを「C:\HyperJuke_DB」に展開した場合は、 「C:\HyperJuke_DB\personal"を設定します。
    DEFAULT DRIVER: PARADOX
    ENABLE BCD: FALSE

3. プログラムの起動と終了

exe ディレクトリ内の「HyperJuke.exe」を実行して下さい。 あとの操作は、『操作ガイド』を参照して下さい。

4. アンインストール

Hyper Juke を使用しないことに決め、 ハードディスク上から Hyper Juke を抹消したい場合は次のようにして下さい。
  1. 他にBDEを使用したプログラムを使用していない場合は、BDEをアンインストールして下さい。 BDEをアンインストールするには、コントロールパネルから、「アプリケーションの追加と削除」 を実行します。リストボックスの「BDE」を選択し、「追加と削除」ボタンをクリックします。

  2. Hyper Jukeをインストールしたディレクトリ(データベースディレクトリを含めて) を全て、エクスプローラ等で削除して下さい。 Hyper Juke は、Windowsディレクトリ内にファイルをコピーしたり、 レジストリを操作したりは一切行いませんので、インストールしたファイルを削除すれは、 足跡を一切残しません。 ただし、ご自分でHyper Jukeをスタートアップメニューに登録した場合は、 ご自分で削除しなければなりません。

5. ユーザーサポート

ユーザーサポートは以下の場所で行います。

http://www.vector.co.jp/authors/VA005562/index-j.html

6. おわりに

そもそも、どうしてHyper Jukeを作るに至ったか、 Hyper Jukeに対する思い入れを込めて説明します。

私が初めて買ったCDプレイヤーはパイオニアのPD-M6でした。 PD-M6はマガジン式で、1つのマガジンに6枚のCDを収納できます。 そして、マガジンをCDプレイヤーにセットすれば、 マガジン内の6枚のCDを自由に演奏できるという、当時(1988年ころ?)画期的なマシンでした。 しかし、どのマガジンの何番目のトレイに何というCDが収納されているかを 紙に書いておく必要があり、CD(マガジン)の数が増えるにつれ、管理が面倒になってきて、 「こりゃどうにかせにゃならん!」と思うようになりました。

当時からオタク系人種だったため、パソコンを使ってCDの管理とCDプレイヤーの 制御をしようと思いたつまでに時間はかかりませんでした。 パイオニアの6連奏CD-ROMは当時もあったのですが、やたら高価だったため、 PD-M6とパソコンのインターフェース回路を自作することにしました。 インターフェース回路を設計するためには、PD-M6の回路を解析する必要があります。 電子回路に素人というわけでもないので、どの辺が制御中枢かは比較的簡単にわかりました。 あとは、付属リモコンのキーを押して、信号がどう変わるかを調べてテーブルを作りました。 例えば、PLAYキーを押したときのビット配列を調べるわけです。作業は単純なのですが、 根気を必要とします。(ちなみに、こんなことしてるので婚期はのがしてます...)。 今思えば、「すごいことやったもんだ」と思います。

パソコンはPC-9801を使うことにし、プリンタ端子を用いてインターフェースすることにしました。 出力はデータ8ビットとストローブ1ビット、入力はビジー1ビットを利用できます。これらの信号で、 自作インターフェース回路(IC 3個)を経由してPD-M6を制御するわけです。 それにしても、PD-M6の回路にワイヤーを半田付けするときは手が震えました。 何せ壊しても修理してもらえないかもしれないのですから。 ここまで来ればあとはソフトウェアを組むだけなので実現の可能性は100%です。 それでも、テストプログラムを作って、パソコンからPD-M6を制御できたときは ひとり満足の笑みを浮かべたものです。

その後、プログラムの改良を重ね、人に見せられるような段階に達しました。 しかし、いかんせん汎用性が無いことは明らかであり、公開に躊躇していました。 しかし、繁雑な作業をパソコンで代行するという考えは、 対象が家電品であろうとも有効であることを信じて疑わなかったので、 無謀にもオーディオメーカー4社に手紙を出しました。 「パソコンとインターフェース可能なCDプレイヤーを作って下さい。」と。 4社のうち2社から返事がありました。文面は非常に丁寧なのですが、結論は「No!」でした。 これが1990年10月のことです。そのあとすぐ、ネットに公開しましたが、 案の定反応はありませんでした。 以来、自分で使うだけで満足せざるを得ませんでした。

その後、パソコン業界に大きな変化があり、パソコンに内蔵されたCD-ROMで、 オーディオCDの再生が可能となりました。 また、データベースマネージメントソフトも個人で買えるほどに安価なものが 販売されるようになりました。 そこで、Microsoft Accessを使って、データベースの管理とCDプレイヤーの 制御をするようにプログラムを全面的に書き直しました。 Microsoft AccessとCDプレイヤー代わりのCD-ROMを用いることによって汎用のシステムに生まれ変わりました。 今では、Microsoft Accessに変わって、Borland Delphiを使うようになり、汎用性が高まりました。

Hyper Jukeのコンセプトには何等技術的に先進的な点はありません。 しかし、たくさんのCDを管理し、音楽を楽しむという点で飛躍的に便利さを提供してくれます。 メーカーさんには理解してもらえませんでしたが、ダウンロードして下さったあなたには、 理解していただきたいと思います。

現在、私の知る範囲では、100枚収納できるCDプレイヤーがA社、P社、S社の3社から 市販されています。 そのうち、P社の機種は合計3台まで、A社の機種は合計2台まで増設することが 可能な構成になっています。 しかし、パソコンと接続することを前提としてはいないようです。 また、6連奏のCD-ROMはかなり前から市販されており、当然、パソコンと接続できます。 でも、私の求めるものはあくまでもオーディオCDなのです。 しかし、6連奏CD-ROMは、2倍速のもので5万円以下で買えるので、考えを改めるかもしれません。