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φik(sg)

フォームの用例等に添えられた [φik(sg)] のような記号の意味は何ですか?

昔どなたかがなさっていたのをまねっこしたのですが、複数のokuriがあるokuri-ariエントリには、その文法的説明と必要なokuriを簡約して添えることにしています。

この場合だと、エントリとして機能するためには iとkとφ(空、つまりokuri-nasiの形で語幹単独の用法がある)は必須、文法的にはsとgも必要だが実際に使われているかは判断が付かない、となります。

  バカ高           1,270
  バカ高い          4,800
  バカ高く           812
  バカ高かった         235
  バカ高さ           137
  バカ高そう          31
  バカ高み            0
  バカ高げ            0

# 検索結果を見ると、[φiks]が妥当だったという感じですね

揃って採録して頂ければ問題ないのですが、原形のみが採録されたような場合には、この情報に沿って必要な活用形を補わないと十全に機能しないということです。

例えば、L辞書のみの状態で「HonoguraI」「HonoguraKute」「HonoguraSi」と入力してみてください。これは[iks](「仄暗」という語幹の用法はない)ということになりますでしょうか。

 そうした annotation についている「‖」は何ですか?

わたりあu /渡り合;‖ワ行五段[wiueot]/

のように、このタイプの annotation を暫定的に「‖」でマークしました。

(setq skk-annotation-function

(lambda (annotation) (not (eq (aref annotation 0) ?‖))))

などとして表示を抑制することが出来ます。


覚え書き――単独の語が複数の okuri を持つ場合

どういう語が okuri を複数持ち、編纂上の問題になるかのメモです。

 純粋な活用形

品詞 基本形のokuri 可能なokuri 実際の語形
ワ行五段 u [wiueot(c)] 会わない,会います,会う,会えば,会おう,会って,会っちゃう
形容詞 i [φiks(gm)] 面白,面白い,面白く,面白さ,面白げ,面白み

 語幹 = 連用形

語幹と連用形やその他の接続形が「たまたま」一致してしまい、ほとんど全ての okuri が可能になってしまうものがあります。

一段動詞:「見る」「出る」「居る」「鋳る」「射る」「似る」「煮る」「着る」:r:[abcdehikmnoprstuwyz]

見あげる、見ばえ、見ちゃった、見どころ、見えない、見はらし、見い出す、
見かねる、見まい、見ぬ、見おろす、見っぱなし、見る、見せる、見て、
見うしなう、見わける、見よう、見ず。

カ変:「来る」

  • く[rn]
  • こ[inrsyz]
  • き[cmnsty]

 名詞+他の語とも見做せる場合

形容動詞や副詞は様々なバリエーションがあります。独立した品詞と見做されないのも宜なるかな。
品詞 基本形のokuri 可能なokuri 実際の語形
形容動詞 φ [φdns] 愉快,愉快だ,愉快な,愉快さ
形容動詞 φ [φdnt] 色々,色々な,色々と
形容動詞 φ [φts] 整然,整然と,整然さ
サ変 φ [φs] 存在,存在する
副詞 φ [φn] 早々,早々に
副詞 φ [φt] 堂々,堂々と

 音便

品詞 音便の種類 基本形のokuri 可能なokuri 実際の語形
カ行五段 イ音便 k [ki] 吹く,吹いて
ガ行五段 イ音便 g [gi] 脱ぐ,脱いで
マ行五段 撥音便 m [mn] 混む,混んで
バ行五段 撥音便 b [bn] 飛ぶ,飛んで
ラ行五段 促音便 r [rt(n)] 取る,取って,取んな (口語的撥音便)
カ行五段 促音便 k [ktc] 行く,行って,行っちゃう (「いく」のみ)

ウ音便:高い(たかi) → 高う(たこu)

 名詞や成句等の一部が便宜的にokuri-ariにされる場合

とうさん /父さん/ → とうs /父/
みn /身/ (身にしみる)
きg /気/ (気が遠くなる,気が触れる)

「父さん」や「朝焼け」のようなものは、okuri-ari から okuri-nasi を得るのは容易だが逆は困難(skk-auto-okuri-process では「とうs」全てが対象になってしまう)。活用しない体言は原則として okuri-nasi で入れておいて、使用者の好みに応じてコンバートしてから使うようにすることも考えられます。

 既存のエントリから活用形を補う際の問題点

たとえば、"i"で終わるものは必ずしも形容詞とは限らず、カ行五段動詞のイ音便(「吹いて」)であったり単に「い」で終わる体言(「横這い」)であったりします。

このため、単純に okuri から品詞を推定することは出来ず、どこかから文法情報を調達してくる必要が生じます。

また、不用意に活用形を補った場合、それがさらに「正体不明」の okuri-ari エントリを増加させてしまい、以後の整備をますます困難にしてしまう虞れもあります。

SKK利用の上では品詞情報は必要ないのですが、編纂の上ではそうでもないようで、頭の痛いところです。


最終更新時間:2005年02月25日 00時35分50秒